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ゼネバス帝国略史 [付属図書館]

ゼネバス帝国略史


ゼネバス帝国略史












1.ゼネバス帝国建国





 ゼネバス帝国が誕生したのは、120年ほども前のことになる。

 ヘリック1世王の息子、ヘリック2世とゼネバスの兄弟は、もとより互いに相容れない性を持っていたのかもしれない。温厚で政治的謀略に長けたヘリック2世、勇猛で軍事的策略に長けたゼネバス。2人の争いは、父の亡き後「いかに国を富ませるか」という統治者ならば誰しも考える問題が発端となった。ヘリック2世は、平和こそがゾイド星全ての人々の財産であるとし、逆にゼネバスは、諸外国を積極的に侵攻し領土を広げるべきだとした。ゼネバスの云う事は一見すると傲慢だが、理解できないものではない。何しろ、父王ヘリック1世は生前、あろうことか「自国の戦乱を治めるために」という名目で、暗黒大陸の軍団に中央大陸を攻めさせることで国内の統一・協力を促すという暴挙をやってのけていたのだ。ヘリック2世の主張ももっともだが、強力な外敵が居ると知ったゼネバスが外からの脅威を憂えたのも頷ける話である。

 2人の対立は決闘による解決を求められたが、議会の介入によってゼネバスは戦わずして追放の憂き目を負った。ゼネバスを慕う者達は彼に付き従い、中央山脈西側の砂漠地帯へと移住した。ヘリック2世の掲げる名ばかりの共和制に対抗すべく、新しい国を創り、中央大陸を統一するために。












2.中央大陸の戦い





 中央大陸は2つの国に分かれた。ヘリック2世がヘリック大統領として統治するヘリック共和国と、ゼネバス皇帝が支配するゼネバス帝国だ。

 このころの戦争は、まだ今からは想像もつかぬほどに長閑で呑気なものだった。地球人からは、古き良き騎士の決闘のようなものと評された。今の時代から見れば、戦争ではなくスポーツだったと言っても過言ではなかろう。

そんな時代は、異星人の来訪によって終わりを告げた。地球人の宇宙開拓船「グローバリーⅢ」の飛来である。彼らが惑星Ziに持ち込んだ進んだ科学技術は、この星に繁栄をもたらすかと思われた。事実、生産力の向上とそれに伴う人口の増加など、一面では繁栄したのは間違いない。しかし同時に、彼らの技術は戦争をも一変させた。この星の金属生命体であるゾイドは彼らの機械・素材技術の応用がし易かった。それまで家畜のような存在だったゾイドは様々な武器を組み込まれた兵器へと変貌し、急速に進歩を遂げていった。

 ゾイドを中心にした戦争は、皮肉なことに、開戦の原因に反してゼネバスのみならずヘリック軍をも強くしていった。

 もとより物的人的資源の豊富なヘリック共和国、軍の質では上をいくゼネバス帝国。両国の戦いは互いに一進一退を繰り返した。やがて、スタミナに劣るゼネバス帝国の敗色が色濃くなった時、永きにわたる中央大陸の戦いは終わりを告げた。

 しかし、それは平和の訪れをも告げるものとはならなかった。












3.ゼネバス帝国の滅亡





 ゼネバス皇帝は中央大陸戦争の最中、一度中央大陸を追われ、北の強電磁海域「トライアングルダラス」を超えて「暗黒大陸」と呼ばれる大陸へ逃げ延びた。

 そこで皇帝が見たのは、彼の母方の縁に連なるガイロス家の末裔が築き上げた大帝国であった。ゼネバスはガイロス皇帝の力を借り、そこで機を待った。そして中央大陸戦争においてD-DAYと呼ばれる大反攻作戦を展開した。

 領土を取り戻し、デスザウラーの開発によって一度は共和国首都を攻め落とした帝国軍であったが、対デスザウラー用ゾイド・マッドサンダーの出現によってついに敗色を隠せなくなった。ゼネバス帝国の敗戦間際、皇帝は暗黒大陸のガイロス家に再度助けを求めた。

 しかし、ガイロスはゼネバスを裏切る。援軍を求めるゼネバスに、送り込まれた暗黒軍は襲いかかったのである。

 D-DAY以前、ガイロス皇帝がゼネバスに技術を供与したのは、ゼネバス帝国を併合するこの日を待つためのものだったのだろう。ゼネバス皇帝は行方不明となり、彼の娘とされるエレナ姫も囚われの身となった。帝国軍を指揮するシュテルマーはガイロス皇帝のゾイド星征服に力を貸す事になった。ゼネバス帝国民にとっての、苦渋の時代が始まったのである。












4.暗黒軍併合以降




 その後、ヘリック共和国は、ガイロス皇帝率いる暗黒軍と交戦状態に入る。

 暗黒軍の強力なゾイド達と共和国が渡り合えたのは、中央大陸戦争でゼネバス帝国相手に繰り広げたゾイドの開発競争の賜物だったと言える。

 ヘリック・ガイロス両国の間で再び熾烈な開発競争が始まった。

 しかし、やがてそれは天変地異によって終息を迎える。共和国の最強兵器・キングゴジュラスのスーパーガトリング砲から放射される電磁波の影響か、ガイロス軍が開発したデスキャットの超重力砲の影響か・・・ゾイド星に巨大な隕石が迫ったのである。

 不幸中の幸い、隕石の直撃は免れた。しかし、隕石はゾイド星に3つある月のうちの一つに衝突、これを粉砕した。

 ゾイド星に降り注いだ月の破片は海を割り、大陸を裂き、巨大な津波を呼び、地形を変えた。

 この天変地異による被害からの復興のため、ゾイド星にはとりあえずの平和が訪れた。

 やがて来る、新たなる戦い。その前触れの時代が訪れたのである・・・



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