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へリックメモリアル② [博物館]






BONICAL ZOIDS

HERICMEMORIAL

共和国の礎




ゴルゴドス
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全長:12.2m
全高:5.2m
全幅:4.4m
重量:13.3t
最高速度:105km/h
武装:
マクサー20mmビーム砲×2
エルパサイクロン多用途ミサイルランチャー
3Dレーダー

解説:
ゴルゴドスは、ゾイド星陸上に棲むおとなしい機械獣である。その性質は戦闘用に改造されてからも同様で、共和国軍では「腰抜け」と評されることもあった。進化系統上、ゴルドスの祖先である小型種に近く、この種においては背鰭と身体の大型化という定向進化が行われていると考えられている。
ゴルゴドスやゲーターが持つような背鰭は、エレファンタスの「耳(鼻)」同様、危険な大型ゾイドの接近を察知する探知器官として出現した。これら背鰭が他の感覚器と違う点は、逆に電磁波を発振して敵の感覚を狂わせる機能も併せ持っているところである。その機能を地球の動物に当てはめるならば、カメムシ類の臭腺のようなものだろうか。
ゴルゴドスは、そうしたレーダー・妨害電波発振機としての背鰭の機能を強化した、陸上探査機として改造されている。初期共和国軍では、部隊指揮官機としてゴルドスが、その中継機としてゴルゴドスが配備されることが多かった。また、夜戦における「部隊の目」としての役割や、高精度の誘導ミサイル、狙撃用武器などの発射プラットホームとしての役割など、多様な使途を見出された。しかし臆病な性質から苛烈な戦場では使い物にならず、だからこそそれら戦闘支援任務に就くことが殆どだったとも言える。

ハイドッカー
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全長:14.2m
全高:6.8m
全幅:4.2m
重量:7.9t
最高速度:195km/h
武装:
ステルン12.7mmビーム銃×2
ホギス20mm機銃
エルパサイクロン多用途ミサイルランチャー

解説:
ハイドッカーは、高い再生能力を有することから、かなり過酷な労役にも耐えられるゾイドとして古くから用いられてきた。例えば険しい地形の開墾で脚を失うようなことがあっても、ハイドッカーならば他のゾイドほどの損害が無いと考えられた。残酷な話である。
その他の能力は、戦闘用に供されたゾイドの中ではかなりプレーンなもので、戦闘力自体もあまり高くない。しかしハイドッカーは様々な用途に用いられた。特筆すべき戦闘能力を持たないが故に、万能型としての役割を期待されたのである。
後方では物資輸送や補給用に、前線では10名ほどの歩兵を運ぶ兵員輸送用に改造されることが多かった。

さて、戦闘力としては目立つものの無かったハイドッカーであるが、その再生力は凄まじかった。ゾイドコアを除く臓器や四肢、神経に至るまで、元通りに再生することができるほどである。これは、ハイドッカーの細胞が、「幹細胞」へと逆戻りする機能(脱分化能)を持つためである。「幹細胞」とは、細胞分裂によって生体の体が発生していく際、様々な機能を持つ細胞に分化していく「細胞系譜の幹」となる細胞のことを言う。
ハイドッカーが外傷を負った場合、傷口周辺の種々の細胞が幹細胞化し、必要に応じて、皮膚、骨、神経、筋肉等といった失われた細胞を生み出していく。そうして最終的には、失われた部分が元の形状と機能を取り戻すのである。

この性質に後に目を付けたのが地球人科学者達であった。ハイドッカーは活躍の場所を戦場から実験室に移し、科学者らによって徹底的に「研究」され、ゾイドコア培養技術やゾイド遺伝子操作といった、ゾイド細胞の謎を解き明かす大いなる成果を遺した。ハイドッカーが居なければ、ゾイドの大軍団がゾイド星に現れるのは百年は遅れていただろう。
しかし、これらの研究のために実験動物となったハイドッカーは数知れない。野生種はほぼ絶滅し、現在の生息地は実験室のみとすら言われている。
ペガサロス
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翼幅:13m
全長:10m
全高:8m
全幅:3.2m
重量:4.7t
最高飛行速度:M2.5
緊急飛行速度:M3.4(ブースター・ロケット使用時)
武装:
30mmビームバルカン×1
20mmパルスビーム砲×2
対空ミサイル×2
ブースター・ロケット

解説:
ペガサロス野生体は「空のピラニア」などとも呼ばれ、ゾイド星における空の生態系の頂点とも言われる。飛行可能な肉食ゾイドはゾイド星に数多く生息しているが、その多くは自分よりも体の小さな陸上ゾイドを捕食する。同じ飛行ゾイドを襲うこともあるにせよ、それは体の弱った個体を狙うことが殆どである。
それに対してペガサロスの野生体は、主に飛行ゾイドを襲う。それも、飛行中の飛行ゾイドを、である。時には群れで大型の飛行ゾイドを襲うこともある。
ペガサロスは、磁気風を発生させて飛ぶ飛行ゾイドの中でも、航続距離を犠牲にして速力を上げるスプリンター型の進化を遂げたゾイドである。翼に穴を持つことで磁気風のベクトルをあらゆる方向に自在にコントロールする飛行ゾイドの多い中で、ペガサロスは野生体の時から翼に穴を持たない。それ即ち、磁気風による推力を一定方向にのみ働かせるための進化を経たということである。
この「速力」を武器に、ペガサロスは獲物を狩った。ペガサロスよりも速い野生飛行ゾイドは中央大陸には存在せず、ペガサロスから逃れることは不可能だった。
しかし無敵のペガサロスにも弱点はあった。それは衝突を回避する能力に乏しいことである。速力に任せて獲物を追う中で、誤って岩壁に衝突して命を落とす個体は多い。また、餌を求めて移住する「渡り」の力は無く、季節の移り変わりによる食料不足などには常に悩まされる運命となった。
ペガサロスは人間の手で改造されてからは、初期にはドッグファイトに強い制空戦闘機としても利用された。しかし小回りが利き、重装甲の「シンカー」が帝国軍に採用されてからは、戦闘機としての有用性に影が差すこととなる。
プテラス開発以降、ペガサロスは戦闘機から攻撃機へと役割を変える。その戦法は、編隊を組み、速力を活かして敵弾をかいくぐって、水平爆撃を行うというものであった(急降下爆撃は、機体の引き起こしに難があったとされる)。
スパイカー
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全長:9m
全高:6m
全幅:4.2m
重量:6.4t
最高速度:220km/h
武装:
30mm連装対空砲
20mm機関砲
ハイパーサーベル

解説:
スパイカーは、ゾイド星の野生捕食生物としては最強とは言えないが、同サイズの陸上機械獣の内では群を抜く闘争能力を有する。特に主武器であるハイパーサーベルは、他の如何なるゾイドも持ち得なかった天然の凶器であり、古くから畏怖の対象であった。中央大陸では、見ただけで震え上がってしまうような物事を表す喩えとして、「スパイカーの大鎌」は「ゴジュラスの大顎」と同様に用いられる。
ハイパーサーベルの他に、武装は背部対空砲・機関砲の2つである。いずれも射程が短く、見通しの悪い草原地や密林地域での近接戦を想定した設計であることが見て取れるだろう。

さて、スパイカーの闘争能力を支えるものは大鎌だけではない。最大の武器は、並ならぬ俊敏さであろう。
脳を発達させずに進化してきた昆虫型ゾイドは、反射神経のみで行動する。中でもスパイカーの獲物を捕らえるための反射、特に前肢の反応・運動速度には目を見張るものがあった。それは殆どあらゆるゾイドの神経伝達速度を上回るほどであり、捕食対象が回避の反応を行う前に、大鎌は深々と急所に突き立てられる。回避するには、予測に頼らざるを得ないのである。
重い鎧を纏わず、物陰に潜んでは必殺の一閃で敵を斬る様を見た地球人の一人が、「まるで東洋のニンジャのようだ」と漏らしたことから『森の忍者』の二つ名がついた。因みにこのような忍者の認識は、とあるコンピュータゲームが源とされている。
しかし、スパイカーのこの能力を活かすために人間が果たすべき役割は皆無で、むしろ無人のスリーパーの方が、近接格闘で無類の強さを発揮できる。この現象は当然ながら多くのゾイドライダーにとっては不評であった。
強力な戦闘力を持ちながら、人間が用いるには不適であるという皮肉が、スパイカーが戦場から姿を消した理由の一つである。更に、後の火力至上主義の風潮の中では、その速度を維持するために厚い装甲を纏えないスパイカーは容易に砲撃の餌食となり、淘汰される運命だったといえる。

フロレシオス
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全長:13m
全高:7.1m
全幅:9.0m
重量:8.85t
最高水上速度:40kt
最高水中速度:45kt
武装:
20mm対空機関砲
ホーミング魚雷
ホセマイクロソナー
ソナー撹乱煙幕噴出口

解説:
アクアドンが戦線を退いて後、ヘリック共和国の海軍主力はフロレシオスであった。最新鋭ゾイド・バリゲーターは河川や沼沢地に生息するゾイドであったため、水深10~15m程度までしか潜航できない上、武装も水上での使用を前提とする装備であった。だから、渡河作戦、せいぜい上陸作戦には使うことができたが、海洋戦力の要とは成り得なかったのである。その点フロレシオスは最大で200m程度の潜水が可能であり、他のゾイドを圧倒できた。
だが、「他に成り手がいなかったから」というような消極的な理由だけがフロレシオスを海の主役たらしめたのではない。実際フロレシオスは、シンカーの登場まで「事故と破壊工作以外の撃沈無し」という無敵時代を築いている。

フロレシオスの制海戦力を支えたものは、攻守にバランスのとれた装備であった。測定精度の高いアクティブソナーとレーダー、これと連動することにより高い命中精度を誇るホーミング魚雷、そして敵の魚雷を防ぐためのソナー撹乱煙幕(泡沫)噴出装置。この三位一体の装備によって、フロレシオスは圧倒的優位のうちに帝国軍艦艇を撃沈し、共和国軍により多くの「海のエース(通称フローレス)パイロット」を生んだのである。

なお、フロレシオスもアクアドン同様水陸両用とされているが、それは主にレッドリバー戦役以後のことである。レッドリバー戦役時点までに、ヘリック共和国軍沿岸警備隊に所属するほぼ全てのフロレシオスが上陸戦に対応できるよう改修され、ごく短い距離ならばヒレによる歩行が可能となった。レッドリバー河口からの遡上を行ったとされている。
ただ、これは港湾のない浅瀬でも停泊・上陸を行うことができたという意味で、陸上に於いて戦闘を敢行したという正式な記録は無いことを付け加えておく。


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へリックメモリアル① [博物館]






BONICAL ZOIDS

HERICMEMORIAL

共和国の礎




ガリウス
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全長6.5m
全高7.8m
全幅3.5m
重量12.5t
最高速度270km/h

武装
マクサー30mmビーム砲×1(腰部)
エルパミサイルランチャー×2(腰部側面)
パイクラーエレショット×1(腰部)

 身体構造の強靱でないゾイドは捕獲がし易く、ゾイド星人類史の比較的初期から家畜として人間に利用されてきた。ガリウスもその一つである。
 軽快なフットワークを持ち、その運動性と戦闘力で中央大陸戦役初期には群を抜く性能を示した。パイクラーエレショットや30mmビーム砲による威嚇・制圧射を行いながら、退避しようとする敵部隊を追い詰め、包囲し、エルパ・ミサイルで止めを刺す戦法は、帝国軍のマーダ部隊も参考にしたという。が、実はこれは歩兵部隊が陣地攻撃などに用いる戦法と同じものであり、特にオリジナリティのあるものではない。戦闘ゾイドの歴史上重要なのは、「ガリウスが歩兵同様に用いられた」という点である。所謂「歩兵ゾイド」という呼び方が生まれ、この言葉は微妙に意味を変えながら現在まで使われている。
 さて、ガリウスの用法・設計思想は後に重装甲歩兵ゾイド・ゴドスに活かされ、これを名機たらしめた。しかし、ガリウスは重装甲ゾイドがゼネバス・ヘリック両国によって戦場に投入される頃には前線での戦闘に耐えうるだけの能力を持たないと見なされるようになる。機動力に優れているとはいえ、大量投入される敵ゾイドの攻撃全てを回避できるわけではない。そのため、何よりその構造上の脆弱さがネックとなってきたのである。
 以後、戦闘用ゾイド開発競争開始の波も受けて、ガリウスは兵士のゾイド操縦訓練に用いられることとなった。共和国軍の主力たるゴドスの訓練機には最適なゾイドだったろう。
 現在では個体数も激減し、もはや民間でさえ殆ど用いられていないようである。訓練の用にすら供される事無くなったガリウスの姿は、一部の博物館でのみ見ることができる。

グランチュラ
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全長6.0m
全高4.8m
全幅6.1m
重量4.6t
最高速度330km/h

武装
マクサー35mmビーム砲×2(頸部)
ワイヤー射出器(後部)
パイクラーエレショット×1(背部)

 グランチュラは、ヘリック共和国において探査メカとして用いられた多足(虫型)ゾイドである。8本の脚は、細いながらも1本1本にサーボモーターを備えており、外観よりもパワフルな戦闘機械獣であった。
 殊に、グランチュラのパワーが遺憾なく発揮されるのは、8個のサーボモーター全てを作動させてのジャンプである。脚を大きく撓めてのジャンプ力はかなりのもので、山を越え、谷を渡り、ゾイド星の如何なる不整地でも踏破できたと言われる。また先端部は硬く鋭い高密度の金属外骨格組織でできており、その驚異的な踏破力を裏付ける。自然・人工のいかなる構造物でも食い込んで、自重を保持することができただろう。
 更にグランチュラの行動力を高めたのが、野生体が生まれながらに有する「金属線を作り出す能力」を利用した装備、ワイヤー射出器である。敵を絡めとるためにも用いられたこのワイヤーは、それ以上にグランチュラの移動の助けとなった。このワイヤーによって、グランチュラは高い崖を一気に下ることも、河を渡る事もできたのである。
 グランチュラが探査メカとしてヘリック共和国軍に採用されたのも、その走破性能あればこそであった。偵察行動に関しては、グランチュラの挙げた成果は実に華々しい。多数の敵と遭遇しない限り、グランチュラはゼネバス帝国軍基地に関する情報を隠密裡に持ち帰ることができた。
 しかし逆に言えば、走破性能を除けばグランチュラにはあまり良いところがない。と、いうのも、グランチュラはガリウスやエレファンタス等に比べて構造が更に脆弱で、戦闘には耐えられない機体だったからである。
 そのことは重量の軽さとなってデータにも表れている。この軽量さは、殆どの体構造がムダを省いた網目格子状組織や、薄い外骨格のハニカム構造で構成されていることによる。簡単に言えば、頑丈なのは脚先だけで、他は非常に脆いのだ。
 レーダーによる電子探査の重要度が増し、また戦闘機械獣の武装が強力になるにつれ、グランチュラは必要とされなくなっていったのだった。
エレファンタス
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全長:8.3m
全高:4.0m
重量:17.7t
最高速度:95km/h
武装:マクサー35mmビーム砲×2(頚部)
   エルパミサイルポッド××2(側腹部)
   対空ミサイルランチャー×1(背部)
   3Dレーダー

ゾイド星史上初の電子探査用ゾイドが、エレファンタスである。
エレファンタスの野生体は、草木を食べる非常におとなしいゾイドだ。硬い樹皮の植物も好物で、それを堅牢な骨格に変換してはいるが、外皮は特筆するほど硬くない。
その大人しさは、取りも直さず大型の肉食ゾイドに捕食される運命にあることを示す。エレファンタスは生態系の中層に位置する存在なのである。そのため古代においては、人間に捕獲されて農作業や開拓に用いられることはあっても、部族間の戦争に役立つとは到底言えなかった。ゾイド星には、エレファンタスと同サイズでも、より戦闘向きの性質を有するゾイドが数多く存在したからである。
エレファンタスが他のゾイドと違ったのは、「鼻」の役割を果たすと考えられている感覚器の存在であった。ただし、それは人間の常識では考えられないところに存在している。顔の側面、そう、つまり人間が観察したとき「耳」のように見える部分が「鼻」なのだ!
「鼻」自体は、特別な存在ではない。エレファンタスだけでなく、さまざまなゾイドが体内に備えている感覚器官だ。ただしそれは、人間のように「匂い、つまり空気中の粒子の種類を判別する器官」ではない。端的に言えば、「磁性・磁場を感知する器官」である。
艦船がそうであるように、巨大な金属塊であるゾイドは大きな磁場を持っている。重く大きなゾイドであるほど磁場の大きさは増し、高速で移動するほど磁力線の変化は激しくなる。エレファンタスは、受容器としての機能を進化・巨大化させたその「鼻」によって、自分の身に迫る危機、即ち大型ゾイドの接近を感知していたのである。
地球人はこの「鼻」の機能に着目し、改良を施すことによって、電波受信や3次元解析も可能なレーダーとして利用。通信傍受、偵察、警戒などに用いられるようになるも、臆病な性格や火器を用いた戦闘ではかなり脆弱であったことから、会敵の可能性には十分留意しなくてはならなかった。
しかし、やがて帝国ゾイドがマグネッサーによる高速移動能力を備えてからは、発見されると振り切ることもできないまま撃破されてしまうようになった。自陣防御網を出ることができなくなっては、エレファンタスは活躍の機会を失ってしまう。
こうしてエレファンタスは、共和国軍の中で御役御免となっていくのである。
グライドラー
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全長:5.3m
全高:5.2m
重量:3.9t
最高速度:マッハ2.3
巡航速度:マッハ1
航続距離:20000km
武装:ビームバルカン(胸部)
   ブースターロケット
   対空ミサイルランチャー×4(翼部に搭載可能)

グライドラーは、元々季節ごとに各地の湖沼等を転々とする渡り鳥的な生活を行っていた野性ゾイドを改造したものだ。「水鳥型」などと称されるのはそのためで、流れのない穏やかな水辺で、そこに生息する魚類を餌にする。しかしその体構造は「水鳥」の印象とはかけ離れたもので、正にゾイド星特有の生物と言える。
それが如実に現れているのが推進器官である。グライドラーの翼は野生体の状態でさえ非常に小さく、磁気風によって得られる推力もまた小さい。軽量なゾイドとはいえ、長時間飛行状態を持続させるにはとても足りない。その翼は、航空機の尾翼に相当するもので、実は姿勢制御の役割が大きい。
ではグライドラーの主推力はどこから得られるのかというと、脚である。脚は底面に向けて箱状に開口しておりその中には薄く小さな「翅」が何枚も生えている。これが超高速で回転することによって浮揚/推進力を得るのである。外見からは判然としないものの、実はグライドラーは「オーニソプター」なのである。
翅から生まれた風は常に一定方向に向けられ、効率的に推力を得る。特に地表・水面近くでは地面効果で効率的に飛行ができる。エネルギー消費量の大きなマグネッサーや燃料を必要とするジェットエンジンと違い、「筋肉」によって飛ぶため、後の時代の飛行ゾイドに比べて燃費が良いという特徴もある。巡航速度を維持すれば、惑星Ziを半周以上できる航続距離を誇る。
基本武装はレーザーバルカンのみ。普通のバルカン砲のように銃身の寿命を延ばす意味はなく、12個の発振器を円形に配して時間差発射することで、命中率の上昇を狙ったものである。
当初は偵察機として用いられたが、上昇限度が低いため、火器の発達に伴って撃破数が多くなった。グライドラーは後継のペガサロスに座を譲り、主に民間用としての需要を開拓していくことになる。
アクアドン
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全長:9.8m
全高:2.7m
重量:5.9t
最高水上速度:43kt
最高水中速度:32kt
武装:ニコールフォノンメーザー
   水中ミサイル×2(頚部)
   パイクラーエレショット
   ホセマイクロセンサー
   高速ジェットフィン×2(脚部)

アクアドンは、河沼地帯に棲むゾイドを改造した戦闘機械獣である。水中・水上戦闘に特化しており、陸上に上がることも可能ではあるが活動可能時間は長くはない。

中央大陸戦争初期におけるヘリック共和国の水上戦力の優位性は、このアクアドンの時代から続いていたと言ってよい。この頃のゼネバス帝国軍の水上戦力と言えば、改造を受けていない超小型ゾイドに騎乗する「水騎兵」(※海族発祥)や、小型の舟艇にほぼ限られていたからである。これは、古代におけるゾイド星人の争いが専らその生活圏の確保を目的としていたことに由来する。どんな部族も生活の基盤は陸上にあり、そのため陸地の陣取り合戦にこそ意味があって、制海権の確保に対して大きな意味を見出せなかったのである。沿岸地域を生活圏としていたのは海族が主であり、彼らですら洋上を戦場とする機会はほとんど無かった。
そのためアクアドンの主装備は、「陸上攻撃の前提となる渡河・上陸作戦などにおいて、水中に潜んだまま陸上・水上の敵戦力を粉砕するもの」として、水中発射式ミサイルが選択された。また、同様に潜水したまま敵舟艇の船底に穴を穿つフォノンメーザーも搭載された。アクアドンは、敵ゾイドに狙われることのない水中から攻撃を仕掛けることでゼネバス帝国の海洋進出を阻み、永きに亘るヘリック共和国の海上無敵時代の礎を築いたのである。

しかしアクアドンもフロレシオス採用からは専ら調査用・河川パトロール用となり、前線では殆ど見られなくなってしまう。

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