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地雷・機雷 [博物館]

地雷・機雷


地雷・機雷



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目次


1、地雷とは



2、地雷の種別



3、機雷とは



4、地雷の設置と処理



1、地雷とは





 地雷とは、敵の予想進路上にある地域(地上・地中・植生等)に設置して敵に損害を与え、また侵入・通過を妨害する、無人の待ち伏せ式防御兵器である。簡単に言えば「敵の通過によって着火するように仕掛けられた爆薬」のことで、いわばブービートラップの「既製品」とも言える。肝となるのは雷管(信管)部分で、通常の砲弾や爆弾も、信管を換装すれば地雷や機雷に転用することができる。

 地雷は地球の歴史において、アメリカ南北戦争で初めて用いられたと言われるが、雷管のない時代まで含めればルーツは更に古く、古代中国まで遡れるという。18世紀以降の殆どの戦争・紛争で活躍している。

 無人兵器としての地雷のメリットは、言うまでもなく味方側に人的損害が発生しないの一言に尽きる。有人兵器は乗員の養成にも時間・経費が必要で、ひとたび戦死すれば損害は大きい。乗員が兵器からの脱出に成功し生存し得ても、捕虜になる場合もある。そうなった場合、政治的に利用され自国世論を刺激されることが予想される。

 また、地雷は大変安価に製造できる兵器である。待ち伏せ兵器なので、接近してきた対象を射程に収めさえすればごく狭い範囲に損害を与えるだけで良いし、雷管を作動させる装置も火砲やミサイルと違ってさほど精密さを求められないからだ。反対に、取り除くには製造コストの100倍以上の費用が掛かると言われている。






2、地雷の種別





 地雷には、想定される目標物の位置や数によっていくつかの種類がある。地中で炸裂するもの、地上で炸裂するもの、ポップアップして空中で炸裂するもの、空中で無数の小型地雷を撒き散らすものなどである。

 また、作動方式にもいくつかある。振動を感知して発火するものや、音響センサーを搭載していてモーター音や警報音で発火するものなどであるが、惑星Ziで最も実用的なのは磁気感応式である。磁気感応は、地磁気の変化を利用する。大きな金属塊であるゾイドやその他の兵器が接近すると、地磁気の磁力線はそこへ引き付けられ、元の状態よりも湾曲する。この現象を利用して、敵機の出現方向だけでなく、全長や速度まで割り出し、最適なダメージを与えるよう爆発をコントロールする。

 しかし地雷は、手榴弾や砲弾を用いて即席に作成することができるため、実際の戦場ではより多様な種類が見られる。焼夷手榴弾を用いた地雷や壁の中で爆発する地雷などがそうだ。

 なお、地雷代わりに用いられることがあるのが、BC兵器や爆薬、或いは軽火器を装備した超々小型ロボットや超々小型ゾイド等の攻撃型MAV(Micro
Air Vehicle : 超小型無人機 )である。これらは攻撃目標を定めるためのセンサーとプログラムを有している。例えば特定温度帯の熱源、一定の律動を刻む音源、特定の大きさを持つ対象に対して攻撃を加えるように。場合によっては、近くにいる「仲間」を呼び、群れを成して襲い掛かる。「スウォーム(昆虫の大群)」と呼ばれる、地球で用いられたタイプのものや、致傷用でなく鎮圧用として用いられる「リルガ」等がある。また、「スリーパー」と呼ばれる大型の無人ゾイドも、同様の思想のもと運用されている。これらは厳密に言えば地雷という兵器の直接的な延長上にあるわけではなく、単に「同じブービートラップの一種」であるに過ぎない。しかし、自律的なぶん地雷よりも厄介なものと考えられており、歩兵に「対MAV戦闘」という新技能の必要性を強いたという戦史的影響力も強いものであるため、紹介しておく。






A.対人地雷(anti-personnel mine)


 戦闘車両に随伴する歩兵および地雷除去要員を阻止する地雷である。爆発と同時に金属球などの破片を撒き散らし、榴弾と同様の殺傷力を発揮するのが破砕型地雷。爆発力によって敵兵の手足等を吹き飛ばすのが爆破型地雷。どちらも、殺すのではなく負傷させることに重点を置き、敵の進行を遅らせたり、士気を挫いたり、負傷兵の治療・後送等の手間を与えるといった人的・経済的消耗を強いたりするのが目的である。それが結果として、国境や軍事施設を守ることに繋がるのだ。

 対人地雷の作動方式は多数ある。最も簡便な圧力発火式やトリップワイヤー式の地雷は、踏んだりワイヤーに引っかからなければ爆発しない。無線や電気によって手動発火させることもあるが、無人兵器としての地雷の利点は半減する。





B.対車両地雷(anti-vehicle mine)

 戦車・車両の進入を阻止する地雷である。感圧式が主であるが、磁気感応式も用いられる。対人地雷と同様の論理で、車両の機動力を奪い、また行動不能に陥らせる能力をもつ。爆発力・殺傷力は当然ながら対人地雷を大きく上回るため、歩兵に対しては威力が大きすぎ、地雷の本懐が果たせない。そのため、感圧式でも大きな重量が掛かった時でなければ作動しないようになっており、人間にとっては危険はない。





C.対空地雷(anti-air mine)

 低空飛行するビークル等に対して多数の子弾/破片を放射する地雷。着陸地帯になりそうな場所に設置し、ホバリングによる強い下降気流を感知して作動するのが一般的。





D.対ゾイド地雷(anti-zoid mine)

 惑星Ziにも地雷は存在したが、かつての地雷は対人地雷とさほど変わることの無い、踏みつけることで爆発する簡素なものだった。これでは、戦闘ゾイドの脚部を多少破損できこそすれ、本体を破壊するのは難しい。しかも、脚によって歩行するゾイドの接地面にかかる圧力は状況によってまちまちであるばかりか、接地面が狭く歩幅の広い高速ゾイドに対しては特に、有効に作動させることすら困難であった。現代の対ゾイド地雷は感応式地雷が殆どで、1000個単位のサブミュニションを撒き散らすものや、センサーで敵機を探知して装甲の弱い面を狙って弾丸を発射するものまで実用化されている。





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3、機雷とは





 「海の地雷」と呼ばれる機雷であるが、ルーツが新しいわけではなく、地雷と同じアメリカ南北戦争で使われた係維機雷が最初らしい。係維機雷とは、要するに浮力をもつ機雷本体にワイヤーで「沈錘(おもり)」をつないだもので、最も簡易な機雷の形である。機雷の浮く深度はワイヤーの長さで調節し、敵船底が接触する程度の深さに設定される。対潜水艦防御、また、海上兵力の封じ込めなどのために設置される「機雷堰」は、このタイプの安価な機雷を用いることが多い。浅海底ではワイヤーのない沈底機雷なども用いられる。浮遊機雷には自動深度調節が可能なものがあるが、いずれにせよ海流などによって流されると危険が大きいため、殆どの場合用いられない。現在最も攻撃力の高いのはキャプター機雷であろうか。これは機雷が魚雷発射管になっていて、敵艦艇の接近を感知すると魚雷を発射するものである。他に、一般的ではないが、対潜水艦用に開発された纏繞機雷というものも存在する。機雷の浮遊深度から海底まで長いワイヤーを張ったもので、潜水艦がワイヤーに接触するとウィンチが作動し、巻き上げられるワイヤーによって機雷を引き寄せ、潜水艦に接触させるというものだ。

 機雷の起爆のための感応装置は、地雷同様いくつかの方式がある。最も単純な方式は接触方式で、船体の接触によるショックで起爆する。現代では高度化し、機雷は磁気感応・音響感応・水圧感応などの方式を備えるようになった(註:さらに触雷の可能性を高めるアンテナポッドを、機雷上部に増加することもある)。これら感応方式は複合化することで掃海作業を困難たらしめるが、低価格な接触方式機雷を無数に配置するだけでも、相当の防衛効果をもつ。

 また、掃海作業を遅滞させるため感応装置の作動が一定回数に達しないと起爆しないようになっている「回数起爆機雷」や、味方艦艇を守るために遠隔操作スイッチによって感応センサーの電源を陸上施設からオフにできる「管制機雷」なども存在する。

 海上機動兵器使用に対する、機雷の心理的効果は甚大である。機雷敷設の疑いのある海域は、一般艦船の航行も阻止できるため経済的打撃を与えることにもなる。敷設する機雷の全てが高価で作動が確実なものである必要はなく、粗雑なものが混じっていても掃海作業の手を抜くわけにはいかないので、心理的効果があることに変わりはない。むしろダミーを多数混在させることでより大きな時間的・経済的打撃を与えることができるだろう。








4、地雷の設置と処理






 地雷は、工兵と密接な関係をもつ。防御のための濃密な地雷原の設置は、陣地構築の常道として一般的である。逆に、地雷原突破も工兵の役割である。

 そして現代の戦闘は機械化戦である。戦闘ゾイドはサイボーグ化され、歩兵は歩兵戦闘車等の装甲車両に乗り戦場を駆ける。

 工兵もまた然りである。爆薬筒を持って鉄条網を爆破したり、材木で橋を架け、人力で陣地構築を行ったのは過去の話だ。地雷の設置にも自動化された車両や専用ゾイドが使用されることが多い。地雷を自動的に埋設していく敷設装置や、航空機やロケット弾などを用いて地雷を散布する装置などが使用され、これらは地雷原構築と同時に「地雷原マップ」を作ることもできる。

 地雷処理(除雷)は、通路開設と地雷原清掃の2段階を経る。磁気探知機等で発見し、爆薬や機械・又は手作業で地雷を撤去する。ただし今日の地雷は大半がプラスチック製で、磁気探知を受け付けなくなっている。爆薬による処理は、爆索(ロープ状に連なった爆薬)を用いる方法が一般的である。この方法ならば通路開設が一瞬で可能だからだ。また、砲弾を撃ち込んだり爆撃を行ったりして地雷原を切り開くこともある。機械的処理法には、マインローラーやマインプラウといった機材が使用される。

 いずれの場合も比較的短時間で広範囲の地雷原を処理できるが、埋設された地雷の全てを取り除くことは難しい。確実なのは手作業(銃剣等を用いる)による除雷であるが、迅速さに欠ける上に敵から無防備となるため、戦闘継続中はあまり行われない。そうしたことから、UGV(Unmanned
Ground Vehicle : 無人陸上車両 )による啓開が最も有効とされる。

 機雷の処理を掃海という。古くから、掃海作業は掃海艇という専門の小型艦艇によって行われた。磁気感応機雷の登場以降は、グラスファイバー強化したプラスチック等を構造材に利用した掃海艇が生まれた。しかし掃海は船舶だけでなく、滞空能力のある航空機や、ホバークラフトによっても行うことができる。

 機雷の場合、ある時間が経過したら海水が浸入して沈没し、爆発機能も失われるような自動処分装置を備えているのが普通である。よって地雷のような長期にわたる悪影響はないものの、自動処分が行われるまで待ってもいられないわけで、やはり戦闘継続中の掃海作業は必要となる。

 係維機雷の掃海方法は、掃海索というワイヤーを曳航して機雷索を引っ掛け、正しく「海を掃除する」ように行われる。そうして捕らえた機雷は、索を切断して銃撃処分するか、又は直接爆薬で処分される〔註:潜水員(フロッグマン)による処理作業のほか、機雷処理用無人潜航艇(UUV:UnmannedUnderwater Vehicle)による爆薬設置、爆薬をワイヤー伝いに送り込む方法等が採られる〕。感応機雷の場合は、音響発信機や磁場発生器など、目的に応じた機器を用いて機雷を作動させ、爆破処分する。







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